ヴィーガンを選ぶアスリート

アスリートがヴィーガンになる理由、科学的根拠、具体的な実例をさらに深く掘り下げて説明します。ヴィーガン食はアスリートにとって、単に倫理的な選択だけでなく、健康やパフォーマンスの向上に大きな影響を及ぼすと考えられています。ヴィーガンの食事は、動物性食品を一切摂取しないことを特徴としており、植物ベースの食品に重点を置いています。実際に、多くのヴィーガンの選手がスポーツにおいて、結果を出されています。この食生活は、アスリートにとってさまざまな影響を与える可能性があります。

世界で活躍されているアスリートは、日本だけでなく、海外の情報も取り入れ、敏感に感じとっておられるでしょう。
ヴィーガンについては、俯瞰してみることで、愛に満ち溢れた世界があることを知るでしょう。

動物を食べないから体が悪くなる、動物を食べるから体が良くなる、これらは科学的文献等によって、どちらにも、良い、悪いが書かれていて、矛盾もあることでしょう。ただし、動物を食べないがために「体が悲鳴を上げる」などということは、個人の思い込みからくるものであり、お肉を食べる、食べないに関係することではなく、個人の思い込みが、そのように現れているのです。

それとは逆に、お肉ばかりしか食べない人達にも、必須ビタミンは必要であることも事実なのです。

Journal of the Academy of Nutrition and Dietetics(アメリカ栄養士会)の見解

栄養学アカデミー(アメリカ栄養士会)の見解では、適切に計画されたベジタリアン食(ビーガン食を含む)は健康的で栄養的に十分であり、特定の病気の予防と治療に健康上の利点をもたらす可能性があります。これらの食事は、妊娠、授乳期、乳児期、小児期、思春期、高齢者期、およびアスリートを含むライフサイクルのすべての段階に適しています。植物ベースの食事は、天然資源の使用量が少なく、環境へのダメージがはるかに少ないため、動物性食品を多く含む食事よりも環境的に持続可能です。ベジタリアンとビーガンは、虚血性心疾患、2 型糖尿病、高血圧、特定の種類の癌、肥満など、特定の健康状態のリスクが低くなります。飽和脂肪の摂取量が少なく、野菜、果物、全粒穀物、豆類、大豆製品、ナッツ、種子(すべて食物繊維とファイトケミカル(フィトケミカル)が豊富)の摂取量が多いことが、ベジタリアンとビーガンの食事の特徴であり、総コレステロール値とLDLコレステロール値が低下し、血糖値コントロールが向上します。これらの要因は慢性疾患の軽減に貢献します。ビーガンには、強化食品やサプリメントなど、ビタミン B-12 の信頼できる供給源が必要です。

https://www.jandonline.org/article/S2212-2672(16)31192-3/abstract

世界的に、ヴィーガン食を取り入れるアスリートやフィットネス愛好家が増えたことで、高タンパク質のヴィーガン食品の需要が急増しています。植物由来のプロテインパウダー、肉代替品、タンパク質を豊富に含むスナックなどの製品が人気を集めています。

 ヴィーガン向けのスイス初の栄養推奨事項が発表

BFH(ベルン応用科学大学)の研究者は、ETH(チューリッヒ工科大学)およびスイス栄養士協会と協力して、「ビーガンのための食事の質スコア」を開発し、ビーガンの栄養データを使用して分析しました。スイスで初めてビーガン向けの栄養推奨事項が発表された。そして研究は続けられています。
ビーガン食は最近、スイスだけでなく世界中で人気を集めています。この発展により、専門家の間では、そのような食事パターンの考えられる健康上の利点と欠点についての議論が行われました。

栄養面での推奨事項: タンパク質、全粒穀物、ビタミンなど
研究では、BFHの研究者と他の研究者がビーガン向けの栄養品質スコア(DQS-V)を開発し、ビーガンの人々からの栄養データと合わせて分析しました。彼らは、スイス栄養士協会(SVDE)によるヴィーガン向けのスイスの栄養推奨事項に協力しました。
この推奨事項は専門家の意見、特にスイス、ドイツ、イタリア、米国の意見書に基づいています。スイス栄養学会と連邦食品安全獣医局からの勧告も開発プロセスに組み込まれました。

https://www.bfh.ch/de/aktuell/news/2024/ernaehrungsempfehlungen-vegan/

ベジタリアン栄養の役割に関する声明(オーストラリア栄養士会)

知識

  • 人々がベジタリアン食を選択する動機となるさまざまな理由を理解する。
  • 動物性食品をさまざまな程度に含む/含まない、さまざまな種類のベジタリアン食のパターンに関する知識。
  • 植物由来の食品とその栄養上の利点に関する知識。
  • ライフサイクルのさまざまな段階でベジタリアン/植物ベースの食事によって影響を受ける栄養要件を理解します。
  • 植物ベースの食品とベジタリアン/植物ベースの食生活パターンが有益な慢性疾患に関する知識。
  • 実践的な食事計画のアドバイスと、ベジタリアンによく推奨される自然食品や特産食品に関する知識。

スキル

  • ベジタリアン食またはビーガン食を選択する個人に対する非批判的な態度。
  • 植物ベースの食事における制限栄養素をスクリーニングして特定するための栄養評価。
  • 栄養バランスのとれた植物ベースの食事や肉を使わない食事を取り入れるようクライアントを支援したり支援したりするカウンセリング スキル。
  • 植物ベースの食事や現代的なベジタリアン メニューを計画、購入、準備するための実践的なスキル。
https://dietitiansaustralia.org.au/working-dietetics/standards-and-scope/role-statements/vegetarian-nutrition-role-statement

このように、ヴィーガンについて、日本でもこれから研究が盛んになる要素が十分にあります。

健康上の利益

ヴィーガン食は、多くのアスリートにとって健康を維持し、パフォーマンスを向上させる手段となっています。以下にその詳細を示します。

🍀 心血管系の健康
背景
心血管疾患はアスリートにとって深刻な問題となり得ます。ヴィーガン食は、動物性脂肪を排除することで、これらのリスクを軽減します。
具体的な効果
低コレステロール: 植物性食品は自然にコレステロールが含まれておらず、血中コレステロール値を低下させる助けとなります。
血圧の管理: 植物性食品は血圧を下げる効果があり、高血圧症のリスクを減少させます。
炎症の軽減: ビーガンダイエットは、炎症性マーカーを低下させ、心血管の健康を促進します 。

研究文献
Esselstyn, C. B. et al. (2014): 「A way to reverse CAD?」は、植物ベースの食事が冠動脈疾患を逆行させる可能性を示しています。この研究では、低脂肪ヴィーガン食が動脈硬化を改善し、心血管疾患のリスクを劇的に低下させたことが示されています 。
Jenkins, D. J. A. et al. (2003): 「The Portfolio Diet for Cardiovascular Risk Reduction」は、植物ベースの食事が心血管リスクを20%以上減少させることを報告しています 。

🍀 抗酸化作用と抗炎症作用
背景
運動は体に酸化ストレスを与えるため、アスリートは回復を促進するための抗酸化物質が必要です。
具体的な効果
抗酸化物質の豊富さ: 果物、野菜、ナッツ、種子は抗酸化物質を豊富に含み、運動後の筋肉損傷を防ぎます。
フィトケミカル: 植物に含まれるフィトケミカルが炎症を抑え、回復を促進します。

研究文献
Barnard, N. D. et al. (2019): 「Effectiveness of a Plant-Based Diet in Promoting Well-Being in People with Obesity」は、植物ベースの食事が体内の炎症を減少させることを示しています。
Mishra, S. et al. (2013): 「A Multicenter Randomized Controlled Trial of a Plant-Based Nutrition Program to Reduce Body Weight and Cardiovascular Risk in the Coronary Health Improvement Project」は、植物性食品の抗炎症作用と心血管リスクの低下について報告しています 。

🍀 消化と腸内環境の改善
背景
腸内環境は全体的な健康に重要な役割を果たし、免疫力を強化します。
具体的な効果
高食物繊維: 食物繊維が腸の健康をサポートし、便通を改善します。
腸内細菌叢の改善: 植物性食品は腸内細菌叢の多様性を促進し、消化を助けます。
科学的根拠
Rossi et al. (2018) は、ヴィーガン食が腸内微生物叢の健康に貢献し、免疫システムを強化することを示しました。

パフォーマンスの向上

ヴィーガン食はアスリートのパフォーマンス向上にも貢献します。

🍀 エネルギーレベルの向上
背景
持久力とエネルギーレベルの維持は、競技者にとって非常に重要です。
具体的な効果
炭水化物の豊富さ: ヴィーガン食はエネルギーの主な源である炭水化物が豊富で、持続的なエネルギーを供給します。
血糖値の安定化: ビーガン食は血糖値の急激な変動を避け、持続的なパフォーマンスをサポートします。
科学的根拠
Nieman (2012)は、炭水化物を基盤としたヴィーガン食が持久力を向上させる可能性があることを示しています 。

🍀 筋肉の回復
背景
筋肉の回復はアスリートのトレーニング効果を最大化し、怪我を防ぐために重要です。
具体的な効果
植物性タンパク質: 豆類、ナッツ、種子などから得られるタンパク質が筋肉の修復を助けます。
抗酸化物質の役割: 抗酸化物質が筋肉の酸化ストレスを減少させ、回復を促進します。
科学的根拠
Davis et al. (2019)は、植物性タンパク質が動物性タンパク質と同等に筋肉の修復と成長を促進することを示しています 。

注意点

Nutritional Considerations for the Vegan Athlete - PubMed
Accepting a continued rise in the prevalence of vegan-type diets in the general population is also l...

🍀 タンパク質の摂取
アスリートは筋肉の修復と成長のために高いタンパク質の摂取が必要です。ヴィーガンの食事では、豆類、豆腐、テンペ、セイタン、ナッツ、種子、全粒穀物など、植物ベースのタンパク質源を意識的に摂取することが重要です。

🍀 必須アミノ酸の確保
植物性タンパク質は一般的に必須アミノ酸の一部が欠如していることがあるため、複数のタンパク質源を組み合わせることで、全アミノ酸を摂取するようにする必要があります。

🍀 ビタミンB12、鉄、亜鉛の摂取
ヴィーガンの食事ではビタミンB12、鉄、亜鉛の摂取が不足しがちです。これらは、特に持久力が必要なスポーツにおいて、エネルギー生産と酸素運搬能力に影響を与えるため、サプリメントや強化食品で補う必要があります。

🍀 カルシウムとビタミンDの不足
骨の健康に重要なカルシウムとビタミンDも、ヴィーガン食では不足しがちです。これは乳製品を避けることによるもので、強化植物ミルクやサプリメントで補うことが推奨されます。

ドキュメンタリー映画「The Game Changers」

The Game Changers Official Film Website | Documentary
Watch the Game Changers movie about plant-based eating, protein, and strength. Presented by James Ca...

総括

ヴィーガンとアスリートの関係に関する日本と海外の文献は、それぞれの文化やスポーツに対するアプローチの違いを反映しています。以下に、日本の文献と海外の文献を比較し、具体的な例を挙げて説明します。

🍀 日本の文献
日本におけるヴィーガンとアスリートの関係に関する文献は、欧米に比べるとまだ限られています。日本の文献では、特に栄養バランスやパフォーマンスに対する影響が重視されます。

スポーツにおける実例: 日本のトップアスリートがヴィーガン食を実践している例はまだ少数派ですが、健康や体調管理の一環として取り入れている選手も存在します。これに関連する書籍やインタビュー記事が出版され、ヴィーガン食の導入がアスリートに与える影響が紹介されています。

文化的背景: 日本のスポーツ文化では、従来から肉や魚が重要な栄養源とされてきました。そのため、ヴィーガン食に対してはまだ一部で懐疑的な見方があるものの、健康志向の高まりとともに関心が増しています。

🍀 海外の文献
海外、特に欧米では、ヴィーガン食を実践するアスリートが増加しており、これに関連する文献が豊富です。

パフォーマンス向上: 海外では、ヴィーガン食がアスリートのパフォーマンスを向上させる可能性について、多くの研究が行われています。これらの研究は、炎症の抑制や回復の促進、持久力の向上に焦点を当てています。特に、植物性食品が豊富な抗酸化物質やファイトケミカルが、運動後のリカバリーを助けるとされています。

成功事例: 海外の多くのトップアスリートがヴィーガン食を実践しており、彼らの成功事例が書籍やドキュメンタリーで紹介されています。これにより、ヴィーガン食がアスリートにとって効果的な食事法であるという認識が広がっています。

科学的研究とガイドライン: ヴィーガンアスリートに向けた栄養ガイドラインや食事計画が詳しく研究されており、タンパク質、カルシウム、オメガ3脂肪酸など、重要な栄養素を効率的に摂取するための方法が提示されています。これには、サプリメントの利用や特定の食材を組み合わせることで栄養バランスを保つ方法が含まれています。

これらの文献を通じて、ヴィーガン食がアスリートに与える影響について理解を深め、文化や地域に応じた実践方法を学ぶことができます。

・Esselstyn, C. B., et al. (2014).”A way to reverse CAD?” The Journal of Family Practice.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4315380/
心血管疾患の予防と逆行における植物ベースの食事の役割を示す。

・Poore, J., & Nemecek, T. (2018).”Reducing food’s environmental impacts through producers and consumers.” Science.
https://science.sciencemag.org/content/360/6392/987
食品生産と消費による環境影響の分析と、ヴィーガン食の潜在的な影響を報告。

・Barnard, N. D., et al. (2019).”Effectiveness of a Plant-Based Diet in Promoting Well-Being in People with Obesity.” Journal of the American College of Nutrition.
https://www.tandfonline.com/doi/full/10.1080/07315724.2019.1651691
植物ベースの食事が体重管理と精神的健康に与える効果についての研究。

・Nieman, D. C. (2012).”Plant-based diets and endurance performance.” Current Sports Medicine Reports.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC6356661/
持久力スポーツにおける心血管の安全性とパフォーマンスのための植物ベースの食事。

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