
「ヴィーガンファッション」は、レザーや毛皮、ウールやダウン、アンゴラ、カシミヤ、モヘア、爬虫類やダチョウの皮、シルクなどの動物由来素材を避けて選ぶスタイルです。
それだけで、おしゃれはもっとやさしくなります。
いまは素材や技術が進化し、デザインも品質も妥協せずに選べる時代です。おしゃれを楽しみながら、自分の価値観も大切にできるアイテムが増えています。
まずは「知ること」から。あなたらしい一歩を、軽やかに始めてみませんか。
※「クルエルティフリー(動物実験を行わない)」はコスメ領域で語られることが多いため、別ページで詳しくまとめています。
ヴィーガンビューティー 3つの心地よさ
ヴィーガンという選択には、自分もまわりも心地よくなる理由があります。
- 動物に寄り添う(Animal Friendly)
すべての命への敬意を大切にし、動物由来の素材を使用しない選択します。 - 環境への負担を抑える(Eco Conscious)
再生素材や植物由来素材を取り入れ、製造過程での環境負荷をできるだけ軽減します。 - クリーンな美しさ(Cruelty-Free)
コスメやスキンケア製品において、動物実験が行われていないものを選びます。
「やさしさ」が、これからのスタンダードに。日本でも近年、「エシカル(倫理的)な消費」への関心が高まっています。SNSをきっかけに、「トレンドだけでなく、その背景まで美しいものを選びたい」そんな感性を持つ人が増えています。
自分に自信をくれる服やコスメが、誰かを傷つけていないという安心感。その静かな心地よさが、日々の装いをより豊かにしてくれるはずです。
日本の伝統素材とヴィーガンの相性
「ヴィーガン=最先端の化学素材」というイメージを持つ方もいるかもしれません。けれど実は、日本の伝統素材の中にも、ヴィーガンの精神と深く響き合うものが数多くあります。
自然を敬い、共に生きてきた日本の美意識。それは、現代の「やさしさを選ぶ」という価値観と、静かに重なっています。
日本の職人技が紡ぐ、植物由来の可能性
古くから受け継がれてきた「織り」や「染め」の技術が、いまサステナブルな視点から再び注目されています。
綿、麻、和紙などの植物由来素材は、肌にやさしく、環境負荷も比較的低い天然素材。日本が大切にしてきた、自然と調和するものづくりです。
日本のものづくりは、単に動物性素材を避けるという考え方だけではありません。丁寧に作り、修理しながら長く使う、その姿勢そのものが、持続可能性につながっています。
流行を追うのではなく、時間とともに育てていく。そんなスローファッションの感覚が、いま改めて見直されています。
伝統素材の、新しいかたちとして、ここでは、代表的な2つの素材をご紹介します。
絣(かすり)
「久留米絣」は、福岡県久留米市で200年以上受け継がれてきた綿織物です。糸を先に染めてから織ることで、やわらかなかすりの模様が生まれます。藍や柿渋など、植物染料で染められたものは、自然とのつながりを感じさせてくれます。繊細な職人技が生み出す模様は、現代のミニマルなスタイルにもよくなじみます。
※一般的な絣は、絹を使用していない製品かどうかを、購入時に確認すると安心です。
帆布(はんぷ)
かつて船の帆に使われていたほど丈夫な、綿や麻の厚手織物。岡山県倉敷市の「倉敷帆布」は、その品質の高さで知られています。耐久性が高く、使い込むほどに風合いが増していきます。装飾を抑えたデザインは、どんな装いにも自然に寄り添います。
最先端の植物性レザーと、何百年も続く伝統織物。一見、遠い存在のようでいて、どちらも「未来へつなぐ」という想いで結ばれています。エシカルな選択肢は、特別なものではありません。実は、私たちのすぐそばにあります。あなたらしい「心地よい選択」を、日本の手仕事の中から見つけてみませんか。
「選ぶ理由」がある、次世代のヴィーガン素材
近年、動物由来素材の代替としてさまざまな新素材が開発されています。これらは「合成皮革」「人工皮革」「ヴィーガンレザー」「植物由来レザー」「フェイクレザー」などと呼ばれ、ブランドによって採用状況は異なります。
かつての合成皮革は、石油由来のPU(ポリウレタン)やPVC(ポリ塩化ビニル)が中心でした。もちろん今も選択肢のひとつですが、近年はバイオ素材(植物由来)へのシフトが加速しています。

アップル・サボテン・菌糸体(Mylo など)
果実の搾りかすや植物、菌糸体を活用した素材が開発されています。一部ブランドで試験的・限定的に採用された事例もありますが、商業規模での普及はまだ発展段階にあります。
パイナップル(Piñatex)
パイナップルの葉の繊維を活用した素材。複数のブランドで使用実績があり、バッグやシューズなどに採用されています。
コルク
コルクレザーは、コルク樫(かし)の樹皮から作られる植物由来素材です。木を伐採することなく、一定周期で樹皮を剥ぐことで採取できるのが特徴です。
再生ナイロン(ECONYL®)
廃棄漁網などを回収し再生したナイロン素材。アパレルやバッグなどで採用例があります。
合成皮革(ヴィーガンレザー)は、靴・バッグ・ジャケットなど幅広いアイテムで使われています。
また、ソファなどのインテリアや車の内装にも採用が進み、「動物由来素材を使わない選択肢」として身近になっています。
竹繊維(バンブーファイバー)
竹は成長が早く、農薬をほとんど必要としない植物です。
特徴
- 植物由来
- 吸湿性・通気性が高い
- 抗菌・防臭性
- 生分解性(製造方法による)
※製造方法には機械式と化学処理式があり、環境負荷は異なります。
衣類・タオル・ヨガウェアなどに多く使われています。
和紙繊維
日本の伝統素材である和紙から作られる繊維。
特徴
- 軽量
- 通気性が高い
- 抗菌性
- 生分解性
シャツ、靴下、カーテンなどにも応用されています。
紙和
リアルファーから「フェイクファー」へ
近年、動物福祉への関心の高まりを背景に、リアルファーの使用を廃止すると発表するブランドが増えています。その代替としてフェイクファー(人工毛皮)が広く流通しています。
フェイクファーは主にポリエステルなどの合成繊維で作られており、質感や保温性の向上が進んでいます。
一方で、石油由来素材であることから、製造時の環境負荷やマイクロプラスチックの問題が指摘されています。
- Gucci(2018年にファーフリー方針を発表)
- Armani Group(毛皮の廃止を発表)
- Versace(毛皮の使用廃止を表明)
※方針は変更される可能性があるため、最新情報は各ブランド公式サイトをご確認ください。
日本でも、リアルファーを使用しない方針を発表するブランドが出てきています。例として、アバハウス(ABAHOUSE)はリアルファー廃止を発表しています。
※詳細は公式発表をご確認ください。
ウールの背景にある「ウールフリー」の選択
「ウールは羊の毛を刈るだけだから、動物を傷つけない」かつてはそう考えられてきました。けれど、大量生産の背景には、あまり知られていない側面もあります。
ウールの主流であるメリノ羊は、より多く、より細く柔らかな毛が取れるよう、長年にわたり品種改良されてきました。皮膚にしわが多いのが特徴で、そのしわに湿気や汚れがたまりやすいことから、ハエ幼虫症(フライストライク)のリスクが指摘されています。
その対策として、オーストラリアなど一部地域では「ミュールシング」と呼ばれる処置が行われてきました。これはお尻周辺の皮膚を切除する方法で、過去には麻酔なしで行われることもあり、動物福祉の観点から議論が続いています。
現在は「ノンミュールシング」や「RWS(Responsible Wool Standard)認証」など改善の取り組みも広がっています。一方で、動物を資源として利用する構造そのものに疑問を持つ人がいるのも事実です。
いま、私たちには選択肢があります。
動物性素材を使わなくても、最新の技術や植物由来の素材によって、十分に暖かく快適に過ごすことができます。
- リサイクルポリエステル(フリース): 廃棄資源を活用しながら高い保温性を実現
- 高機能中綿(ダウンフリー): 羽毛や羊毛を使わない次世代防寒素材
- マイクロファイバー: 軽くやわらかく、毛布にも使われる保温素材
もちろん、合成繊維にはマイクロプラスチック流出という環境課題もあります。だからこそ、「洗濯ネットを使う」「長く大切に使う」といった工夫をあわせて考えることも大切です。
蚕(カイコ)と「シルクフリー」
シルク(絹)は、カイコガの幼虫である蚕(Bombyx mori)がつくる繭から作られる天然繊維です。繭は、1本の非常に長いフィラメント(連続した糸)で構成されています。
一般的な生糸の生産では、この長い糸を切らずに取り出すため、蛾が羽化する前の段階で繭を加熱処理(煮沸・蒸熱・乾熱など)します。羽化の際に繭が破られると、糸が短く切れてしまうためです。
この加熱工程により、繭の中の蛹は死にます。これは現在の主流であるフィラメントシルク(生糸)生産の標準的な方法です。
生糸1kgを生産するためには、およそ5,000匹前後(文献により約4,000〜6,000匹)の蚕が必要とされます。製品1点あたりに換算すると、スカーフなどでは数百〜数千匹規模になることがありますが、厚みや重量によって大きく異なります。
蛾が羽化して繭を破った後の繭を利用する方法も存在し、「ピースシルク」または「アヒンサーシルク」と呼ばれます。
ただしこの場合、糸は連続した長いフィラメントではなく短繊維となるため、通常の生糸とは風合いや強度、生産効率が異なります。また、すべての工程が完全に動物に影響を与えないとは限らない点も指摘されています。
シルクの代替素材について
現在は、動物由来でない素材でも、シルクに近い光沢やなめらかさを持つものがあります。
- テンセル(リヨセル):木材パルプ由来の再生繊維
- キュプラ:綿花の種子まわりの繊維(コットンリンター)を原料とする再生繊維
- ポリエステルサテン:合成繊維による光沢素材
それぞれ環境負荷や製造工程の違いがあるため、背景を確認しながら選ぶことも可能です。
日本発ブランド
Belle & Sofa
動物性不使用のやさしい靴。
cocochikobo
神戸発・ミニマルデザイン。
LOVST TOKYO(ラヴィスト トーキョー)
アップルレザーは、主にリンゴの搾りかす(ジュースを絞った後に繊維質部分)を再利用して作られます。

FUMIKODA(フミコダ)
国産バイオマス素材や高耐久人工皮革「FUMITEXTM」を使っていて、ビジネスバッグやトートが特に優秀。環境負荷低めで高品質。 直営店(中目黒など)や公式オンラインで買えて、日本人好みのシンプルで上質なデザインが魅力。

Aasha(アーシャ)/セレクトショップ
Arture(コルクレザー)、ZenKind(ココナッツレザーMalai)、MAROMA(フェアトレードのお香やボディーケア製品)を取り扱っています。

海外のヴィーガンブランド
北米・ヨーロッパでは、エシカル消費が広く浸透しています。
- 環境意識の高まり
- セレブリティの影響
- バイオ素材開発の加速
が市場拡大を後押ししています。

Stella McCartney(ステラ マッカートニー)
ヴィーガンラグジュアリーの象徴。イギリス生まれ、ヴィーガンファッションの先駆者。すべての製品に動物由来の素材を使用せず、Mylo™(きのこレザー)やECONYL(リサイクルナイロン)といった革新的な素材を採用しています。また、サステナブルな生産プロセスを確立し、エシカルファッションの基準を高めています。
JW PEI(ジェイダブリュー ペイ)
- ロサンゼルス発。SNSでも大人気で、1〜2万円台とリーズナブルながら、トレンドを押さえたカラーとシルエットが魅力です。
Melie Bianco(メリービアンコ)

GASTON LUGA(ガストンルーガ)
スウェーデン・ストックホルム発のサステナブルブランドで、ヴィーガンレザー(PUレザー/プレミアムビーガン素材)を使った防水・耐久性が高いバッグ&小物がメイン。バックパックやトートが特に有名です。
Matt & Nat(マット・アンド・ナット)
Matt & Natは、カナダの老舗ヴィーガンブランド。ヴィーガンレザーを中心としたアパレルとアクセサリーを提供するブランドで、リサイクル素材を使用することに注力しています。ブランド名は「MAT(T)erial and NATure」に由来し、自然に配慮した製品作りを重視しています。特に、リサイクルプラスチックボトルを使用したバッグの裏地が特徴的です。

O.N.E(オー・エヌ・イー)
トウモロコシ由来のヴィーガンレザーを使ったミニマルデザインのブランド。 軽くて耐久性が高く、世界配送対応。日本でも公式ストア経由で見つけることができます。

iFarmaissance(アイファーマッサンス)
オーストラリア発。サボテンレザー、パイナップルレザー、グレープレザー、アップルレザーなど、植物由来のヴィーガンレザー、デッドストック・ファブリック、再生ポリエステル、オーガニックコットンを使用し、バッグを作っています。

ANGELA ROI(アンジェラ ロワ)
ニューヨーク発のラグジュアリーヴィーガンハンドバッグ&アクセサリーブランドです。2013年に設立され、高品質なヴィーガンレザー(主にEPULや植物由来のカクタスレザーなど)を使い、動物を使わずエシカルで透明性の高い生産を徹底。イタリアの熟練職人によるハンドクラフトで、本革のような上質な質感と耐久性が人気です。

BBYB(ビービーワイビー)
韓国発の新星ブランドで、2024年に日本上陸。タイムレスなデザインでカラバリ豊富、価格も1〜2万円台と手頃。

Wills Vegan Store(イギリス)
Wills Vegan Storeは、動物由来の素材を一切使用しないヴィーガンレザー製品を提供しており、PETA認証を取得しています。シューズやアパレルを中心に展開しており、エシカルでサステナブルなファッションを提供しています。
大手ブランドも「ヴィーガン・フレンドリー」へ
ヴィーガンという選択は、アウターやバッグだけでなく、シューズやスポーツウェア、日常着にも広がっています。
レザーやウール、シルクといった動物性素材を使用しない設計や、動物由来の接着剤を使わない仕様など、より明確に「ヴィーガン対応(Vegan Friendly)」を打ち出すブランドも増えています。
スポーツブランドが明確に“ヴィーガン設計”を打ち出すことで、選択肢はよりわかりやすくなっています。
ただし、環境配慮ブランドが、動物性不使用ブランドではない
という点は冷静に見ておく必要があります。
スポーツブランドの動き
- アシックス(ASICS)
THE FASHION PACT(ファッション協定) に日本で初めて加盟
サステナブルな素材と工程に向けて - THE NORTH FACE(ザ・ノース・フェイス)
サーモボール プロ - Adidas(アディダス)
「Stan Smith」などでヴィーガン仕様のモデルが販売された事例があります。 - NIKE(ナイキ)
※すべてのモデルがヴィーガン仕様ではありません。
身近なブランドでの広がり
- ZARA
- H&M
- Banana Republic(GAP)
などのグローバルブランドも、リサイクル素材や植物由来素材を取り入れたコレクションを拡充しています。
すべてがヴィーガン仕様というわけではありませんが、商品説明に素材情報を明示するケースが増え、消費者が選びやすい環境が整いつつあります。
ラグジュアリー・高価格帯
- Stella McCartney(ステラ マッカートニー)(創業当初から動物由来素材を使用しない方針)
- Prada(プラダ)
Re-Nylon(再生ナイロン)シリーズは動物性不使用。
日常の延長線上で選べる時代へ
特別な専門ブランドでなくても、身近なショップで「動物性素材を使わないアイテム」を見つけられる時代になってきました。
ヴィーガンファッションは、特別な人のためのものではなく、日常の選択肢のひとつとして広がりつつあります。
認証制度について
ヴィーガン製品の信頼性を高めるため、第三者認証制度が活用されています。
- PETA-Approved Vegan
- The Vegan Society 認証(ひまわりマーク)
これらの認証は、原材料や製造工程について基準を満たした製品に付与されます。
近年は、トレーサビリティ(追跡可能性)も重視されています。「誰が・どこで・どのように作ったのか」という情報を公開することが、ブランドの信頼性につながっています。
これからのファッションの選択
「動物への配慮」と「環境への配慮」は、どちらか一方を選ぶものではなく、両立を模索するテーマになりつつあります。ブランドの姿勢や素材の背景を知り、必要以上に消費せず、長く愛用する。その積み重ねが、これからのファッションの方向性をつくっていきます。
ヴィーガンファッションへの向き合い方には、日本と海外での傾向が見られます。
日本では、どのブランドを選ぶか、素材の見分け方、日常での取り入れ方といった、具体的で実践的な情報が多く紹介されています。エシカルファッションを生活の延長線上で取り入れる視点が中心です。
海外では、動物福祉、畜産による温室効果ガス排出、水資源や森林への影響など、より広い社会的視点から議論される傾向があります。大学研究や市場分析も進んでおり、ヴィーガンファッションは産業構造の変化の一部としても捉えられています。
流行として消費するのではなく、手入れをしながら長く使う。そうした選択の積み重ねが、これからのファッションの方向性を形づくっていきます。
購入前にチェック
「もう動物犠牲に加担したくない」と思ったとき、完璧を目指さなくても大丈夫。できることから始めればいいのです。
まずは素材表示を見てみましょう。
レザー / ウール / シルク / ダウン のほか、
アンゴラ / カシミヤ / モヘア / 爬虫類やダチョウの皮 など、
動物性素材が使われていないか確認します。
でも同時に、
- 合成皮革(PUなど)
- 再生ナイロン
- 植物由来素材
- 合成中綿(ダウンフリー)
といった代替素材も増えています。つまり、「選べる時代」になってきています。
- 次に買うバッグは動物性なしにする
- 次のスニーカーは合成素材にする
背景を知り、次に選ぶ一つを変えるだけでも、確実に需要は変わります。
声を荒げなくても、「私はこれを選びます」という行動は、とても静かなメッセージになります。
※コスメ・スキンケアについては
「ヴィーガンコスメ完全ガイド」で詳しく解説しています。


