
ヴィーガンファッションとは、レザー・ウール・ダウン・シルクなど、動物由来素材を使わないファッションのことです。
近年は、植物由来素材や人工皮革、再生素材の技術が進み、おしゃれを楽しみながら動物への配慮もできる選択肢が広がっています。
この記事では、ヴィーガンファッションの基本、避けたい動物由来素材、代替素材、そして今日からできる選び方をわかりやすく紹介します。
ヴィーガンファッションとは?
ヴィーガンファッションとは、動物の皮・毛・羽・繭などから作られる素材を使わないファッションです。
代表的な動物由来素材には、以下のようなものがあります。
- レザー
- ファー
- ウール
- カシミヤ
- モヘア
- アンゴラ
- ダウン
- フェザー
- シルク
- パール
- エキゾチックレザー
ヴィーガンファッションの中心にあるのは、素材の背景にある動物の存在に目を向けるという考え方です。
特別なことをする必要はありません。まずは、服やバッグを選ぶときに素材表示を見ることから始めましょう。
なぜヴィーガンファッションが注目されているのか
かつては「動物に配慮するファッション=選択肢が少ない」というイメージもありました。
しかし今は、デザイン性や機能性に優れた代替素材が増えています。バッグ、靴、財布、アウターなど、日常で使いやすいアイテムも多く登場しています。
ヴィーガンファッションが注目されている背景には、大きく3つの理由があります。

生産の背景が見えるようになった
SNSやドキュメンタリーを通じて、ファッションの裏側が以前よりも見えやすくなりました。
「この素材はどこから来たのか」「どのように作られているのか」
そうした背景を知ったうえで、動物を犠牲にしない選択をしたいと考える人が増えています。
代替素材の品質が進化している
人工皮革や合成中綿はもちろん、リンゴ、サボテン、パイナップル、菌糸体などを活用した植物由来素材も開発されています。
かつての「代用品」という印象から、今では新しい素材の選択肢として注目されています。
環境への関心が高まっている
近年は、畜産や素材生産による環境負荷への関心も高まっています。
動物由来素材を減らすことは、水資源や土地利用、温室効果ガス排出の見直しにつながる可能性があるとされています。
一方で、合成素材にはマイクロプラスチックなど別の課題もあります。
そのため現在は、「どの素材が完璧か」を決めるよりも、背景を知ったうえで選ぶことが大切だと考えられるようになっています。
ヴィーガンファッションと環境の関係については、こちらの記事で詳しく解説しています。
動物由来素材とは?
ファッションには、思っている以上に多くの動物由来素材が使われています。
ここでは代表的な素材を見ていきましょう。
動物由来素材一覧
| カテゴリ | 素材 | 主な動物 | 用途 |
|---|---|---|---|
| 皮 | レザー | 牛・豚・羊・山羊 | バッグ・靴・財布・ジャケット |
| 皮・毛 | ファー | ミンク・キツネ | コート・装飾 |
| 毛 | ウール | 羊 | セーター・コート |
| 毛 | カシミヤ・モヘア・アンゴラ | 山羊・ウサギ | ニット・ストール |
| 羽 | ダウン・フェザー | アヒル・ガチョウ | ジャケット・寝具 |
| 繭 | シルク | 蚕 | ブラウス・スカーフ |
| 体内 | パール | 貝 | アクセサリー |
「皮」を使う素材
動物の皮膚を加工して作られる素材です。
レザー(革)
牛・豚・羊・山羊などの皮を加工して作られます。世界では毎年数億頭規模の牛が食肉用として屠殺されているとされ、その皮の一部が革製品になります。

「食肉の副産物」と説明されることもありますが、革そのものにも経済価値があり、ひとつの大きな産業として成り立っています。
レザーには、以下のような種類や加工があります。
- スエード
- ムートン
- シアリング
名前が違っていても、動物の皮や毛を使っている素材であることに変わりはありません。
エキゾチックレザー
ワニ、ヘビ、トカゲ、ダチョウなどの皮を使った素材です。
- オーストリッチ
- パイソン
- クロコダイル
多くの場合、皮を目的として飼育・捕獲されます。動物福祉の観点から、使用を廃止するブランドも増えています。
ファー(毛皮)
ミンク・キツネなどの毛皮。
近年は、毛皮を使わない「ファーフリー」を掲げるブランドも増えています。
ただし、ブランド方針は変わることがあるため、購入時は公式情報を確認すると安心です。
- Gucci(2018年にファーフリー方針を発表)
- Armani Group(毛皮の廃止を発表)
- Versace(毛皮の使用廃止を表明)
「毛」を使う素材
「刈り取るだけ」と思われがちですが、大量生産の現場では、飼育環境や採毛方法が問題視されることがあります。
ウール(羊毛)
保温性や吸湿性に優れ、世界では多くの羊が飼育されています。

メリノ羊は、より多くの毛を採るために品種改良され、皮膚にしわが多い特徴があります。これによりハエ幼虫症(フライストライク)を防ぐ目的で「ミュールシング」が行われてきました。
これはお尻周辺の皮膚を切除する方法で、動物福祉の面から議論されています。現在はノンミュールシング表示やRWS(Responsible Wool Standard)認証など、動物福祉に配慮した取り組みも始まってはいます。
カシミヤ・モヘア・アンゴラ
- カシミヤ:カシミヤヤギの産毛
- アンゴラ:アンゴラウサギの毛
- モヘア:アンゴラヤギの毛
高級素材として需要が高まったことで、過放牧による砂漠化や、採取時の扱いが問題視されるケースも報告されています。
「羽」を使う素材
防寒着や寝具に使用され、多くは食肉産業と関連しています。
ダウン/フェザー
アヒルやガチョウなどの水鳥の羽毛・羽根。

ダウンやフェザーの多くは、鳥肉やフォアグラ、卵などの生産と関連しています。その過程では、過密な飼育環境が問題視されるケースもあります。
かつては生きたまま羽を抜く「ライブプラッキング」が問題となりました。現在はRDSなど、責任ある調達を示す認証もあります。
ヴィーガンを意識する場合は、合成中綿や植物由来繊維を使ったアウターが選択肢になります。
「繭」や「体内」から作られる素材
宝飾品として身近な素材も、その成り立ちには独自の工程があります。
シルク(絹)
蚕(かいこ)の繭(まゆ)から作られます。
一般的な製法では、長い糸を取るために蛹(さなぎ)の段階で加熱処理が行われます。これに対し、羽化を待ってから繭を使う「ピースシルク」という選択肢も生まれています。一般的には、多数の蚕が使われ、蛹が加熱処理されるとされています。
動物を使わない選択肢としては、テンセル、キュプラ、レーヨンなど、なめらかな質感を持つ植物由来・再生繊維があります。
真珠(パール)
貝の体内で育まれる宝石。
アクセサリーとして人気がありますが、ヴィーガンの観点では動物由来素材に含まれます。真珠を取り出す際に貝が命を終えるという側面があります。
代替として、ガラスパール、樹脂パール、人工パールなどがあります。
見落としやすい動物由来素材
表面の素材だけでなく、細部や加工工程に動物由来成分が使われていることもあります。
- にかわ・ゼラチン(接着剤や加工工程)
- コチニール色素(虫由来の染料)
- シェルボタン(貝殻)
すべてを一度に見分けるのは難しいですが、まずは主要素材を確認するだけでも大きな一歩になります。
知っておきたいヴィーガン素材
現在は、動物由来素材を使わなくても、見た目や機能性に優れた素材を選べるようになっています。
| 動物由来素材 | 代替素材の例 | 特徴 |
|---|---|---|
| レザー | 合成皮革・人工皮革・植物由来レザー | バッグ・靴・財布に使いやすい |
| ダウン | 合成中綿・ ポリエステル中綿 | 軽くて暖かく、水に強いものも多い |
| シルク | テンセル・キュプラ・ レーヨン | なめらかで光沢がある |
| ファー | エコファー | デザイン性が高い |
| パール | ガラスパール・ 人工パール | 見た目が近く、 価格も手頃 |
かつての合成皮革は、石油由来のPU(ポリウレタン)やPVC(ポリ塩化ビニル)が中心でした。今も選択肢のひとつですが、近年はバイオ素材(植物由来)へのシフトも進んでいます。
また、ソファなどのインテリアや車の内装に使われるような素材は丈夫で長持ち、「動物由来素材を使わない選択肢」として身近になっています。
ダウンの代替素材
ダウンの代わりには、軽くて暖かい合成中綿が使われます。代表的な素材には、以下があります。
| 素材 | 特徴 | 強み | 主なジャンル |
|---|---|---|---|
| ThermoBall | ノースフェイス採用の合成中綿 | 水濡れに強い・ダウンのような膨らみ | アウトドア(ノースフェイス中心) |
| PrimaLoft | 軍用開発の高機能素材 | 水に強く保温力が極めて高い | 本格アウトドア・ミリタリー |
| Thinsulate | 3Mの断熱素材 | 薄くても暖かい(かさばらない) | カジュアル・ワークウェア・寝具や手袋、靴 |
| Sorona | デュポン社の植物由来原料を含む繊維 | 伸縮性と弾力 | デイリーウェア・きれいめカジュアル |
一方で、石油由来素材であることや、洗濯によるマイクロプラスチックなどの課題もあります。そのため、長く使う、洗濯ネットを使う、必要以上に買い替えないといった工夫も大切です。
植物由来レザー
近年は、植物や食品廃棄物を活用したレザー調素材が開発されています。代表的なものには、以下があります。
- アップルレザー
- サボテンレザー
- パイナップルレザー
- マッシュルームレザー
- コルクレザー
これらは、動物の皮を使わない新しい素材として注目されています。
ただし、製品によってはポリウレタンなどの合成樹脂を組み合わせている場合もあります。

再生素材
ECONYL®のように、廃棄漁網などを再利用して作られる再生ナイロン素材もあります。
バッグ、水着、アウターなど、さまざまな製品に活用されています。
天然植物素材
- コルク
コルクレザーは、コルク樫(かし)の樹皮から作られる素材です。木を伐採せず、一定周期で樹皮を採取できるのが特徴です。軽く、水に強く、バッグや財布にも使われています。 - 竹
竹は成長が早く、衣類やタオル、インナー、ヨガウェアなどに使われます。吸湿性・通気性に優れ、抗菌・防臭性を持つとされる素材です。ただし、製造方法によって環境負荷は異なります。 - 和紙
和紙繊維は、軽く、通気性があり、衣類や靴下、インテリアにも使われています。日本らしい植物由来素材として、ヴィーガンファッションとも相性の良い選択肢です。
日本の伝統素材とヴィーガン
ヴィーガンファッションというと、最先端の植物レザーや人工素材を思い浮かべるかもしれません。
しかし、日本の伝統素材の中にも、動物由来素材を使わない選択肢があります。
綿、麻、和紙などの植物由来素材は、肌にやさしく、環境負荷も比較的低い天然素材。日本が大切にしてきた、自然と調和するものづくりです。

絣(かすり)
久留米絣は、福岡県久留米市で受け継がれてきた綿織物です。
糸を先に染めてから織ることで、やわらかなかすりの模様が生まれます。藍や柿渋など、植物染料で染められたものは、自然とのつながりを感じさせてくれます。繊細な職人技が生み出す模様は、現代のミニマルなスタイルにもよくなじみます。
※一般的な絣は、絹を使用していない製品かどうかを、購入時に確認すると安心です。
帆布(はんぷ)
帆布は、綿や麻で作られる厚手の織物です。
丈夫で長く使えるため、バッグや小物に向いています。倉敷帆布や尾道帆布など、日本のものづくりを感じられる素材としても人気があります。
※持ち手や装飾に革が使われている場合があるため、購入時は細部まで確認しましょう。
私たちにできる最初のステップ
私たちは、一度にすべてを変える必要はありません。
まずは、素材表示を見てみること。それだけでも、選び方は少しずつ変わっていきます。
たとえば、
- タグを見て素材を意識する
- 動物由来素材を避けてみる
- 植物由来や再生素材を試してみる
- 長く使えるものを選ぶ
小さな選択でも、続けることでクローゼットは少しずつ変わっていきます。
購入前にチェックしたい素材表示

私たちは、選べる時代に生きています。
次に買うバッグをノンレザーにしてみる。ダウンではなく中綿ジャケットを選んでみる。スニーカーを合成素材に変えてみる。
そんな小さな選択から、ヴィーガンファッションは始められます。
「動物由来素材を使っていない」と明記しているブランドや、ヴィーガン対応を掲げているブランドを選ぶのも安心です。
日本で買えるヴィーガンブランドを探したい方はこちらの記事も参考にしてください。お気に入りが見つかると良いですね。
よくある質問(FAQ)
ヴィーガンファッションとは何ですか?
レザー、ウール、ダウン、シルクなどの動物由来素材を使わないファッションです。
ヴィーガンファッションは環境に良いのですか?
動物由来素材を減らすことは、畜産や加工工程に関わる環境負荷を減らす可能性があります。一方で、合成素材にも課題があります。素材だけでなく、長く使うことや買いすぎないことも大切です。
ヴィーガンファッションは高いですか?
以前は高価な印象もありましたが、現在は手頃な価格のバッグ、靴、財布、アウターなども増えています。まずは買いやすいアイテムから試すのがおすすめです。
合成皮革と人工皮革は同じですか?
どちらも動物の皮を使わない素材ですが、構造や品質に違いがあります。一般的に人工皮革は、より本革に近い構造を目指して作られた素材です。商品ごとに耐久性や質感が異なるため、用途に合わせて選びましょう。
ウールやシルクもヴィーガンではないのですか?
はい。ウールは羊の毛、シルクは蚕の繭から作られるため、ヴィーガンファッションでは動物由来素材に含まれます。代替として、コットン、リネン、テンセル、キュプラ、合成繊維などがあります。




