管理栄養士の血液検査結果(ヴィーガンビフォー・アフター)

今回は、管理栄養士で現役ヴィーガンの筆者が、2019年に菜食に移行してから、2024年までの経過について、自分自身の変化に興味がありました。2009年から約15年間の血液検査の数値をもとに、ビフォー・アフターをお伝えいたします。

症例

2019年に、一般食(動物食+菜食)からヴィーガン(菜食)に移行しました。

・年齢:42歳
・性別:女性
・職業:会社員
・家族:夫と2人暮らし
・飲酒:ときどき
・喫煙:なし

血液検査結果と経過

・ヴィーガンに移行し、栄養状態などビフォーアフターを振り返るためにまとめました。2009~2023年度(32~47歳)の約15年間における、健康診断血液検査結果は以下のとおりです。

血中脂質と血液一般(貧血)について、特に変化が見られたので推移をグラフ化しました。(2014年度、2020年度は採血せず)

血中脂質:総コレステロール、LDLコレステロール

血中脂質

血液一般:ヘモグロビン、赤血球数

血液一般:ヘモグロビン、赤血球数
血液検査結果

上表(血液検査結果)のように、15年間を通して、肝機能、糖代謝、腎機能は、異常なしでした。グラフの中の赤字は、参考基準値の範囲外を示しています。

・2018年度までと、2019年度以降を比べると、総コレステロール・LDLコレステロール値が低下しました。

・2022年度に、赤血球数低値(貧血の疑い)・MCV高値・MCH・MCHC正常でした。巨赤芽球性貧血(ビタミンB12の不足が原因)が疑われます。

2022年度、2023年度の健診を受ける前の2か月間、以下のサプリメントを服用しました。

  • 2022年度 ビタミンBミックス(錠剤)
  • 2023年度 スピルリナ(ハワイアン天然スピルリナ100%、錠剤)

・2024年度血液検査結果は、サプリメントを利用したことが関連していると推測されますが、すべて基準値の範囲におさまり、改善が見られました。

ビタミンB12がヴィーガン・ベジタリアンの課題

ビタミンB12は、ヴィーガンやベジタリアンにとって重要な栄養素です。これは主に動物性食品に含まれているため、植物性食品のみを摂取するヴィーガンや、動物性食品の摂取を制限するベジタリアンは、ビタミンB12不足のリスクが高くなります。

厚生労働省eJIM | ビタミンB12[サプリメント・ビタミン・ミネラル - 医療者]
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ビタミンB12の役割

ビタミンB12は、体内で以下のような重要な役割を果たします。

  • 赤血球の生成: 健康な赤血球を作るために必要です。
  • 神経機能の維持: 神経細胞の健康と正常な機能を維持するために重要です。
  • DNAの合成: DNAの生成、全細胞のDNA合成に必要です。

ビタミンB12不足の症状

ビタミンB12が不足すると、以下のような症状が現れることがあります。

  • 疲労、体力低下: 日常的な活動が困難になることがあります。
  • 便秘、食欲不振、体重減少: 消化器系の問題が生じることがあります。
  • 巨赤芽球性貧血: 赤血球の異常な大きさと形が原因で貧血が生じます。
  • 神経症状: 手足のしびれやチクチクする痛み、平衡感覚障害、うつ病、精神錯乱、認知症、記憶力の低下、口や舌の痛みなど。

ビタミンB12の摂取源

ヴィーガンやベジタリアンがビタミンB12を摂取する方法としては、以下のようなものがあります。

  • サプリメント: ビタミンB12のサプリメントを定期的に摂取する。
  • 強化食品: ビタミンB12で強化された植物性ミルク、シリアル、栄養酵母などを摂取する。

推奨摂取量

日本人の食事摂取基準(2020 年版)によると、成人のビタミンB12の推奨摂取量は、1日あたり約2.4マイクログラムです。サプリメントや強化食品を利用する際は、この推奨量を目安にすると良いでしょう。特に妊娠中や授乳中の女性は、適切なビタミンB12摂取が胎児や乳児の健康にとって重要です。米国栄養士会(Academy of Nutrition and Dietetics)は、ヴィーガンや乳卵ベジタリアンに対して、ビタミンB12サプリメントの摂取を推奨しています。

ヴィーガン生活の実践とサプリメント

ヴィーガン生活を続けるためには、バランスの取れた食事を心がけることが重要です。しかし、全ての必要な栄養素を植物性食品だけで賄うのは難しいこともあります。そこで、サプリメントが重要な役割を果たします。

サプリメントの選び方

ヴィーガン対応のサプリメントを選ぶ際には、以下の点に注意すると良いでしょう。

  • 成分の確認: 動物性成分が含まれていないか確認します。
  • 製造プロセスの確認: ヴィーガン対応の製品を提供している信頼性のあるブランド、製品がヴィーガンであることを認証するラベルがあるとより安心です。
  • 自分に合っているか確認:口に合うか、体に合うか、継続できそうか、2~3か月して効果を感じられない時は中止して問題ないでしょう。

ヴィーガン転向によって感じた自分自身の変化

心身ともにと言いますが、身体的にも、精神的にも、自分自身の変化がありました。

  • 体重の変化は記憶している限り5kgほど落ちてほどなく5kgほど増加し元に戻った。
  • 毎年風邪をひいていたが風邪をひかなくなった。
  • 歯科検診で口の中が綺麗になったと言われる。
  • 動物性の料理をしなくなり脂汚れが減ってキッチンの掃除がラクになった。
  • 明らかに白髪が減った。
  • 友人・親族・会社の集まりなど食事や外食で気を遣わせるも3年で慣れる。
  • 精進料理の本などに書かれている心も身体もきれいになることを実感する。
  • 心が軽やかになったと思う(個人的に「食べられたくなかったな」という動物の負の感情を食べずに済む)。

最後に

保育園・幼稚園の食物アレルギーを対応するときに、乳幼児の10人に1人が食物アレルギーを持っています。圧倒的に多い卵アレルギー、そして乳アレルギーと続きます。なぜこんなに多いのか、どうすればよいのか、当時、食関連の本を読みながら考えていました。そして、私がヴィーガンになったきっかけは、近所の鶏肉屋さんがつぶれ、若杉友子さんの「長生きしたけりゃ肉は食べるな」という本を読み、その頃、魚の干物を自分で作っていましたが、最後に、今でも不思議なことに思いますが、そのお魚にいつまで食べているの?と怒られました。

日本の栄養学ではいろいろな食品をバランスよく食べるようにと言われますが、食物アレルギーをもつ子どもの多さ、食の問題は農の問題に直結していること、ベジタリアン・ヴィーガンという生き方があること、命の大切さなどを知る機会が重なり、私のヴィーガンがスタートしました。

それまでなんでも食べていましたし、管理栄養士のこの仕事をしていなければ、今の状態になっていなかったのではないかとも思っています。

国内外の文献で、ヴィーガンを継続するには、サプリメントが有効であることも出ています。サプリメントの選択肢はヴィーガンにとって助けになるでしょう。

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